転換期の選択(第40号 2010年4月)

日本を含む西洋諸国が、国家財政の危機に直面しています。イギリス、日本を筆頭に、アイルランド、スペイン、ギリシャ、そして6番目に米国。

これら諸国では、多大な財政赤字を抱え景気回復は困難。一方、高齢化に伴う社会保障負担が嵩(かさ)みます。歴史学者ニーアル・ファーガソン氏は、西洋諸国が更に困難な状況に陥り、政治が不安定化して行く可能性を指摘しています(フォーサイト4月号)。

他方、中国やインドは成長を続けており、ファーガソン氏の見立てによれば、現在は、世界的な力のバランスが西洋から東洋に移行していく歴史的な転換期なのだとのことです。しかし、「未来」は一つに定まったものではなく、私達が「厳しい選択」をするなら、西洋が復興する可能性があると氏は言います。

日本の場合、一般会計は92兆円。家計に例えると、生活費が月71万円でローン返済が月21万円。月給(税収)は37万円、副職で11万円(特別会計等雑収)、足らない44万円は借入(新規国債)増でしのいでいます。大幅な増収=増税がないなら、支出は6割位に減らす必要がありますが、選挙民相手には困難です。

今後の日本は、GDPも家計収入も減少を続けるという悲観的見方もあります。しかし、アシスト社長のビル・トッテン氏は、GDPが現在の6割レベルになれば、年収も働く時間も6割にしたら良いと言います(「『年収6割でも週休4日』という生き方」小学館刊)。

勤労者収入が08年との比較で6割だった約30年前。ウォークマンが発売され、「ジャパンアズナンバーワン」と日本的経営が世界の賞賛を浴び、リストラという言葉もワーキングプアという言葉もなかった。今、大量生産、大量販売、大量廃棄の生活を捨てて、家庭菜園や日曜大工などに時間を使うエコライフを送れば良いではないか、と言います。発想の大転換です。

この歴史の転換期に、例えばビジネス社会では、投機経(ギャンブル)済を終わらせること、公開会社を社会の公器として取り戻すこと、貧困層対象ビジネスを貧困根絶のためのビジネスとして確立すること等、今までの流れを変える選択が必要なのだと思います。そして、生きている私達一人々々に、過去の経験に捉(とら)われない発想が、厳しく困難だとしても新しい生き方を選択することが、迫られているのではないでしょうか。

(所長 林 光行)

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