数字の意味を考える(39号 2009年10月)

鳩山首相が、2020年までに1990年比で温暖化ガスを25%削減すると宣言しました。この宣言は米中などを含む主要排出国が参加することが前提であり、日本だけが取り組むというものではありませんが、国際社会から大きな評価を受けました。

地球温暖化が、多くの島嶼(とうしょ)国を水没させ、大規模な砂漠化を招くなど、地球規模で取り戻しようのない環境破壊を進行させることは、多くの科学者の共通認識だと思われます。人の住める地球を保つために、温暖化対策には、積極的に取り組むべきでしょう。

他方、25%の削減をすると1世帯当たり年間可処分所得が22万円減るという試算があり、負担増が心配だとマスコミでは言われています。しかし、日経新聞論説委員の塩谷氏によると、これはとんでもない誤解だそうです(2009年9月27日付け日経朝刊)。

試算の出所は経産省で、毎年1.3%ほどGDPが伸びると想定すると、排出削減策をまったく講じない場合には可処分所得が90数万円増えるが、25%の排出削減をすると増加は70万円余りに止まり、その差が22万円だというものです。数字の意味するところが違います。

さて、鳩山内閣の支持率。毎日新聞によると72%あり、これは小泉内閣の85%に次ぐ高支持率だとのことです。しかし、今回の鳩山内閣の高支持率にも、前回の小泉内閣の高支持率にも、私は何とも言えない違和感を覚えました。1億総懺悔(ざんげ)ではありませんが、世論が一方向に向きすぎると感じたのです。

その上、両内閣が目指すのは、まったく逆の方向です。85%と72%という数字からすると国民の過半の人が、まったく逆の政策を支持していることになります。一体、これは何を意味しているのでしょうか。

両内閣の共通点を探ってみると、「変革」という点にありそうです。多くの国民が、方向性はともかく現状を打破する大変革を望んでいる。それが「自民党をブッ壊す」小泉氏を支持し、「政権交代」を目指す民主党を支持したのだ。そう考えると腑に落ちます。

国民は「変革」を支持したが、政策の細目までを支持した訳ではない。だとすると、民主党は、具体的施策について改めて世論に耳を傾けるべきです。そして私達も、変革内容に対して鋭敏な選択眼を養うべきでしょう。私達の選択が、これからの日本を決めます。

(所長 林 光行)

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