新聞報道(2006年3月25日)によれば、02年春に大阪府立で初の民間人校長に登用された府立高津高校の木村智彦校長が、府教委に辞職願を提出し、受理されたとのことです。木村校長は任期を1年残して今年3月末で辞職するといいます。
同校長は府教委が関西経済同友会に紹介を依頼し、登用された企業人です。府教委が企業人を同校の校長にした狙いの一つは、私学に奪われていた多くの実質的「地域一番校」の座を、府立高校が取り戻すことにあったと思われます。
木村校長は着任後、迅速に行動を開始しました。同窓会に資金を仰いだクーラー設置、PTAに援助を求めた学習塾講師による補習、塾テストの導入など。結果、「02年春に48人だった同校の国公立大合格者が05年には119人に増えた」と言います。
このような目に見える成果に拘わらず、この度の辞職にいたった背景には様々な事情があったものと思われますが、府教委には、今後とも府立高校の教育の質を上げるための様々な試みを続けて欲しいと思います。
民間人校長の登用も一概に否定されるべきではないと思いますし、保護者負担の元に「教育」を塾の下請けに出すのでは困りますが、学習塾のベスト・プラクティスに学ぶことも有益だと思います。
ただ、教育目標を「進学率」等に偏らかたよせて欲しくはありません。人が生きるには、事実を認識する力、論理的に考える力、想像し創造する力、等々が必要ですが、「学力」はその一部に過ぎません。
さらに、そのような能力に加えて、心から感動できる能力、他者の歓びや悲しみに共感できる能力、他者と共に生きることを嬉しいと感じる能力等があって初めて、人は、「人間らしく生き抜く」ことができるのではないでしょうか。そのような力を育むはぐくことが、教育の真の目的だと思います。
10数年前当時、長女が通っていた私立高校には進学のための級がクラスなく、進学指導を問う保護者には、「当校は予備校ではありません。全人教育を行うことが当校の目標です」と応えていました。凡およそ教育に携わる人には、このような理念を、高く掲げていて欲しいと思います。
