この4月から介護保険制度がスタートしました。
介護保険制度は、介護を必要とするお年寄りが、家族頼みでない介護サービスを利用できるようにしようというものです。
いま介護保険制度の導入でテンテコ舞いされているのが、特別養護老人ホーム(特養)等、介護をなさっている現場の方々です。従来、国からの委託を受けて施設が介護を行っていたものが、介護を受ける人と施設との直接契約に切り換わり、保険請求などの新しい手続が必要になったからです。
介護だけでなく、「国が措置する」という仕組みを、利用者と社会福祉施設との直接利用契約に切り換えようというのが、福祉全般の大きな流れです。福祉の現場における、利用者と施設との対等な関係を保証しようという意図もありますが、市場原理の導入によって、より安価でより水準の高い福祉サービスを実現しようという狙いもあります。
市場原理の導入は規制緩和などの大きな流れの一環であり、問題もありますが、効率性の観点からして多分に望ましく、押し止めることのできないものです。今後、福祉分野への営利企業の参入が増えるでしょうが、福祉の現場の方々の熱意と創意で、金儲け主義でない福祉が更に充実されることを期待したいと思います。そのためには、福祉現場以外の広範な人達の協力も必要です。
さて、介護の現場の混乱に輪をかけているものに、会計基準の変更があります。この4月から適用される二つの基準が厚生省から発表されたのです。一つは全ての社会福祉法人に適用されるものとして2月に、もう一つは介護事業者に適用されるものとして3月に、各々発表されました。
この二つの基準は似て非なるものなので、一体どう扱えばよいものか、社会福祉法人で介護事業をなさっている特養等の現場の方は困っています。
同じ厚生省から異なった基準が出されたのは、立案した部局が異なり、それぞれに別の公認会計士が関与していたからです。両者間での十分な意見の擦り合わせがなかったのです。
一人々々の仕事が社会に影響を与えます。そのことの重さを、改めて噛みしめたいと思います。
