昨今の不況の中、会社が赤字でも個人では多額の税金を払い続けている ― この3月の確定申告の間、そんな会社の社長さんから相談を受けることがありました。「会社の業績が悪い時に、個人でこんなに税金を払うのなら、今年は会社から貰う役員報酬を減らそうか……」
ほとんどの個人企業の場合、個人も社長も懐は同じなので税効果を考えると全くそのとおりで、そうするべきだと思います。個人会社で赤字が続いているときに、高額な役員報酬を払い続けているのは頂けません。ましてや、「昇給も賞与も抑えて、足らんかったら古い従業員のクビ切って……」と言いながら、御自分の報酬は高額のまま、という社長にお会いすると「これでは従業員の士気も上がらないし、赤字が続きそうだな……」と思います。
そんなわけで、御自分の報酬をカットされる方には「自分は食べなくても従業員にはキッチリ給与を払う!それでこそ経営者!」と感激します。しかし、少し頭をヒネルときもあります。それはごく一部の例なのですが、御自分の報酬をカットすることで経営責任を果していると考えておられる社長にお会いしたときです。
「俺はここまでがんばっている。あとは社員が……」と言われます。お気持ちは痛い程わかります。でも最高経営者としての社長が本来果すべき責任は、会社として必要な経費(役員報酬もそうです)を支払いながらも、キチンと利益を計上できるような経営をすることなのです。役員報酬を個人的に我慢することは、結果責任を果すことにはならないと思うのですが、どうでしょうか。
「社長」に厳し過ぎるのかも知れません。しかし、それだけ社長の責任は重いのです。社長が人一倍研鑚に励む必要があると同時に、高額な報酬を受け取る権利がある所以ではないでしょうか。
(所長 林 光行)
