3.移行の判断基準

従来の公益法人は、平成25年11月30日までに、公益社団法人または公益財団法人(以下「公益認定法人」)に移行するか、あるいは、一般社団法人または一般財団法人(以下「一般社団法人等」)に移行するかの選択を迫られています。今回は、どちらに移行するかについての判断基準や移行に必要な作業などについて記載します。

税理士・公益法人アドバイザー 古田 茂己

☆公益か一般か そのメリットとデメリット

公益認定法人と一般社団法人等の、各々の法人形態のメリットとデメリットは以下のとおりです。

摘要 メリット デメリット
公益認定法人
  • 「公益」という称号が使用できるので、社会的信頼面で有利
  • 税務上の優遇措置が受けられる
  • 公益認定の基準の全てを継続的に満たさなければならない
  • 認定取消し時、公益目的財産を1ヶ月以内に寄附しなければならない
一般社団法人等
  • 事業や法人運営等が自由である
  • 原則、行政庁から監督を受けない
  • 社会的信頼面で不利になる可能性がある
  • 税務上の優遇措置が受けられない
  • 申請時に「公益目的支出計画」を作成しなければならない

従来の公益法人が、公益認定法人あるいは一般社団法人等のどちらを目指すかは、その法人の収入源・現在行っている事業などを基に考えますが、享受できるメリットだけで判断するのではなく、法人の目的や存在意義などを考慮し、公益認定法人か一般社団法人等のどちらがその法人にとってふさわしいのかを判断して、進む方向を決めるべきものと思われます。

☆公益か一般か望ましい法人は? 

従来の公益法人のうち公益認定法人に移行するほうが望ましいと考えられるのは、次のような法人です。

  1. 収益事業を行っていない法人
  2. 寄付金収入がないと法人として存続が困難な法人

他方、次のような法人は、一般社団法人等に移行するほうが望ましいでしょう。

  1. 公益目的事業の支出が法人全体の支出の2分の1以下になる法人
  2. 事業・法人の運営について監督されたくない法人

☆特例民法法人の移行に必要な作業など

公益認定法人への移行認定の申請書を提出するまでにしなければならない項目
おおむね以下のとおりです。

  1. 事業の整理と事業区分(公益事業などの区分)
  2. 予算書・決算書の20年度公益法人会計への適用
  3. 財務に関する公益認定基準への適合性の確認
  4. 機関設計(理事会、代表理事、評議員(会)など)
  5. 定款変更の案の作成
  6. 移行認定書の作成(添付書類含む)

最初に、事業の整理と事業区分にとりかかります。この事業区分に応じて「財務に関する3つの公益認定基準」に適合するのかどうかを仮判定します。また、法人の機関を決定し、その機関設計や公益目的事業などに沿った新しい定款を作成します。

一般社団法人等への移行認可の申請書を提出するまでにしなければならない項目

おおむね以下のとおりです。

  1. 事業の整理と事業区分(実施事業などの区分)
  2. 予算書・決算書の作成
  3. 公益目的支出計画の作成(これがポイントです)
  4. 機関設計(理事会、代表理事、評議員(会)など)
  5. 定款変更の案の作成
  6. 移行認可書の作成(添付書類含む)

現状では、移行認定及び移行認可の申請書の提出件数はかなり少なく、様子見の法人が多いものと思われます。いずれにせよ、移行には膨大な資料作成が必要です。申請手続の支援をさせて頂き実感したことですが、特に公益認定法人を選択する場合、決定事項も多く書類作成には多大な時間を要します。定時社員総会などが年に1回であることを考えますと、法人の事業区分を明確にし、どちらに移行するかについて、早期に意思決定されることが望ましいと思われます。

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