112年ぶり(!)に公益法人制度が抜本的に改革されました。今年の12月1日から施行される新しい制度では、公益法人の設立方法、定款や機関の設置、役員の選任方法などが現行制度と比べて大幅に変更されました。例えば、従来は社団法人を設立するのは困難で、「それならNPOに…」と考えられたのですが、これからは一般の人も社団法人を簡単に設立できるようになりました。しかし「公益性」が従来と同じように認められる訳ではありません。また、現在の公益法人も新制度に適合する必要があります。以下では、これらの概要を紹介させていただきます。
税理士 ・ 公益法人アドバイザー 古田 茂己
Ⅰ 新しい制度の枠組みと税制
従来の制度では、「公益性」について主務官庁が判断したうえで、主務官庁の許可を受けて公益法人の設立が認められることとなっていました。つまり、公益性の判断と法人の設立とが一体となっていたのです。しかし、新しい制度では「法人の設立」と「公益性の判断」とが分離されました。
まず、社団法人(あるいは財団法人)は、登記をするだけで設立できることとなりました(このようにして設立された法人を一般社団法人または一般財団法人といいます)。株式会社を設立するのと大きく変わりません。また、行う事業についても制限はありませんし、原則として法人運営についても行政等の監督は受けません。従って、同じ非営利法人であるNPO法人より使い勝手がいいかもしれません。
しかし、このように設立された一般社団法人等を、従来と同じような「公益」法人として扱うわけには行きません。そこで、これら一般社団法人等のうち公益事業を行うことを主な目的とする法人で、「公益性」があると認められた法人についてだけが、公益社団法人または公益財団法人(以下「公益認定法人」といいます)になることができることとなりました。
税制については、一般社団法人等は、原則全所得が課税され、資本金1億円以下の株式会社と同じ扱いになります。公益認定法人は、収益事業(公益目的事業に該当する部分は非課税)のみが課税となり、現在の公益法人課税と同じ扱いになります。ただ、一定の要件を満たして非営利性が徹底された法人等に該当すれば、一般社団法人等であっても公益認定法人と同じく収益事業のみの課税となります。
また、公益認定法人に寄附をした場合には、その寄附をした者には寄附金控除等の優遇措置がありますが、一般社団法人等に寄附した場合は、優遇措置はありません。登記だけで設立できるという性格上、これは仕方のないことだと思われます。
Ⅱ 従来の公益法人の対応
制度が変わったことによって、民法34条に基づいて設立された従来の公益法人は、5年間の余裕期間(「移行期間」といいます)内に、認可を受けて一般社団法人等に移行するか、あるいは認定を受けて公益認定法人に移行するかの選択をする必要があります。それまでの間、従来の公益法人は、平成20年12月1日をもってすべて自動的に「特例民法法人」となり、現行の名称、機関、定款のままで存続することができます。
ただし、移行期間内にいずれにも移行しない場合は、移行期間満了の日(平成25年11月30日)において解散したものとみなされます。
これを図で示すと、以下のとおりです。

以上、新しい制度の概要を記載しましたが、現在の公益法人が移行するにあたっては事業内容の見直しなど多くの問題点があります。詳細については弊事務所編集の『新しい公益法人制度』をご覧いただければ幸甚です。もちろん、お困りのことがありましたら、ご相談も大歓迎です。
